7/22/2017

ジェイン.オースチンの命日に。

最も人気のイギリスの女流作家のひとりジェイン.オースチンが他界してからちょうど200年経った7月18日(1817年7月18日死去)、イングランド銀行総裁は彼女が眠るウィンチェスター大聖堂で新しくポリマーでできた10ポンド紙幣を披露しました。一般に出回るのは9月14日だそうですが、これまで女性が紙幣に使われた例は非常に少なく、クリミア戦争で負傷した兵士たちの看護をしたり、イギリスにおいては看護師を養成したことで知られるフローレンス.ナイチンゲールと、刑務所を含む社会改革者のエリザベス.フライくらいしか思い当りません。女性が少ない件に関しては長い間キャンペーンが行われていて、今回やっとジェイン.オースチンの登場となったわけです。




ただ、写真下に書かれている文章には賛否両論があります。 "I declare after all there is no enjoyment like reading!" 「結局読書以上に楽しいことはないと確信をもって言えるわ!」
オースチンファンがこれをよしとしていない理由は、この言葉は「高慢と偏見」に出てくることは間違いないのですが、言ったのは読書には全く興味のないキャロライン.ビングリーが言った言葉だからです。「イングランド銀行の人たちはジェイン.オースチンを読んだことがあるの?」とお怒りです。


「高慢と偏見」(映画とBBCのドラマで日本でも大人気を博しました)「分別と多感」「エマ」などジェイン.オールチンの作品は、世界中でいつの時代にも多くの人々に読まれています。牧師の娘として生まれた彼女ですが、ともすればその時代に外の世界とはあまり接触を持たず、両親や兄弟姉と共に牧師館で閉鎖的に暮らした女性のイメージを強く持つものです。しかも41年と言う短い生涯でした。でも彼女の作品をみれば経済的、その他の事情で引っ越しを繰り返し、それぞれの場所での社会構成や人間関係をするどい目で観察していることがわかります。

何と言っても、彼女の生きた時代はジョージアン時代の後期にあたりフランス革命、フランスとの戦争時のイギリスの情勢、そこの住む中流階級の人たちの習慣、ものの考え方、暮らしが手に取るようにわかります。そこがジェイン.オースチンという作家がこれほどまでに読まれていてファンが多い理由ではないでしょうか。

そして一番私が感心するのは、女性の立場が固まっていて、更に階級制度が強く根付いている時代においては伝統、習慣に流されがちな女性たちが多いはずですが、オースチンは人としての信念をしっかりもって生きたことです。

私はBBCでドラマ化した「高慢と偏見」が好きで、全巻のDVDを年に一回くらいひっぱり出してきて見ています。またこの小説を基にして映画化されたものが「ブリジット.ジョーンズの日記」ですが、そのロケ地になったコッツウォルズのスノーズヒルも好きな村ですので、よくお客様をご案内します。

スノーズヒル。映画では冬のシーンですが、ここに人口の雪をまいて撮影されたとか。




その他、ジェイン.オースチンの作品を基にして作成された映画、テレビドラマのロケ地になったところをご紹介しますね。

                
2005年制作された映画「高慢と偏見」でミスター.ダーシーの住む館ペンバリーとして使われたチャッツワース.ハウス
 
 
 

BBCのドラマ「高慢と偏見」で使われたライム.パークの館
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
主人公のリズィーがダーシーの留守中にダーシーの住む館ペンブリーを見学に行った時、思いもよらずこの池で泳いだ後のミスターダーシーとばったり出会うシーンがあります。でもご一緒したお客様から、「実は水からあがるシーンは他で撮影されたみたいですよ。ここの水は汚れていて使えなかったんですって。」とお聞きして、あのイメージがいっぺんに吹き飛んでしまいました。
 
 
同じくBBCの「高慢と偏見」でペンンバリーの館のインテリアとして使われたサドブリー.ホール。
 
 
 
 
 





この他にもバーリーハウス、コッツウォルズのレイコック村や、その修道院などがあります。実は私の住むウィンズローの町のすぐ近くにクレイドンという上記のフローレンス.ナイチンゲールに縁の深い18世紀の館があります。ここもロケ地に使われたそうですが、私はまだ訪れたことがありませんので、近いうちに行ってみようと思っています。

ジェイン.オースチンの命日は終わりましたが、テレビでは彼女関連のドキュメンタリーやイベントニュースが後を絶ちません。